足場資材の危険な破損シリーズ②:手摺編

足場資材の危険な破損シリーズでは、各足場資材における危険な破損を実際の写真を用いて紹介し、具体的にどのような危険性があるのかを解説していきます。
安全基準は仮設工業会の定める検査基準に準拠します。
第2回は『手摺』です。
早速見ていきましょう。

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目次

  1. クサビの破損
  2. 手摺の曲がり
  3. たたきの欠損・凹みによる歪み
  4. まとめ

1.クサビの破損

画像左の手摺を見てみると、クサビに亀裂が入ってしまっていることが分かります。
クサビに亀裂が入ってしまっていると十分な強度が確保できない為、負荷がかかった際に破損してしまう危険性が有ります。
特に、手摺は作業者が体重をかけた際に破損すると、手摺が外れて作業者が落下してしまう可能性が有ります。

また、画像右の手摺ではクサビが内外に向けて曲がってしまっています。
このような状態だとコマと正常に結合できないだけでなく、亀裂の場合と同様に強度の低下に伴って破損の危険性が高まっています。

クサビの破損は主にコマに結合されている状態で過負荷がかかった場合に発生します。
経験則上、このような破損はラックとして使用された手摺に多く見られます。
その為、ラックとして手摺を使用する際には使用する手摺の本数を増やしたり、ラック内の資材の重量が過剰にならないように留意したりするなど、手摺に過度の負荷がかからないようにする為の対策が必要になります。

2.手摺の曲がり

画像のように手摺に曲がりがあると、支柱と支柱を渡すようにかけることが出来ない為、使用することが出来ません。
画像のような極端な曲がりでなく、少し反っている程度であっても使用に支障をきたすことがあるので注意が必要です。
使えないほど曲がっていれば使用されない為に却って危険性自体は薄いですが、反りが原因でクサビとの結合が緩くなっている状態で使用していると、負荷がかかった際にコマからクサビが抜けてしまう可能性があり危険ですので、使用時には手摺の曲がりが無いことを確認したうえで使用するようにしましょう。

3.たたきの欠損・凹みによる歪み

たたきは、資材をハンマーで叩く際にその衝撃から資材の変形・破損を守る役割を果たしています。
その為、たたきの欠損は資材の変形・破損を助長してしまいます。
たたきだけでなく、その周辺も他の箇所と比べてハンマーで叩かれることで衝撃をうけやすく、変形・破損に繋がりやすい為特に注意が必要になります。
たたき周辺に凹みがあると、クサビの角度が歪んでしまうことがあります。
こうなると、クサビの曲がりと同様にコマとの結合が不完全になってしまう可能性があります。

このような手摺の変形・破損を防止する為にも、手摺を外す際にはたたき部分を叩くように意識する必要があります。

4.まとめ

手摺は足場においてメインとなる部材であり、使用数も多いです。
そういった中で、安全性の低い破損した資材を使ってしまうと、様々な重篤な事故に繋がる危険性があります。
また、上記の破損例はあくまでも1例であり、ここで挙げきれないような様々なケースが発生する可能性があります。
弊社でも入出荷の際に可能な限りチェックをしていますが、それでも混入を防ぎきれないものや、出荷後の運搬中に破損してしまい現場で使われてしまうケースもあります。
使用前に資材の状態をチェックするなど、危険な資材を使わないように安全対策を行う必要があります。

次回:足場資材の危険な破損③:踏板編はこちら

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