
命名:ハネナシツノナシブラブラ
足場資材の危険な破損シリーズでは、各足場資材における危険な破損を実際の写真を用いて紹介し、具体的にどのような危険性があるのかを解説していきます。
安全基準は仮設工業会の定める検査基準に準拠します。
第4回は『ブラケット』です。
早速見ていきましょう。

1.クサビの破損

画像左のクサビを見てみると、クサビに亀裂が入ってしまっていることが分かります。
クサビに亀裂が入ってしまっていると十分な強度が確保できない為、負荷がかかった際に破損してしまう危険性が有ります。
また、画像右のクサビではクサビが内外に向けて曲がってしまっています。
このような状態だとコマと正常に結合できないだけでなく、亀裂の場合と同様に強度の低下に伴って破損の危険性が高まっています。
ブラケットはその上に踏板をかけることも多く、人が乗ることで負荷がかかりやすい資材の一つです。万が一クサビが破損してしまうと、片側しかコマと接続していない場合が多いこともあり、そのままブラケットが外れて踏板ごと作業者が落下する事故に繋がってしまいます。
2.ツノの曲がり・欠損

ブラケットのツノは上にかけた踏板などが、横にスライドして落下してしまうといった事故に繋がらないようストッパーの役割を果たしています。
両側のクサビの間を渡すように設置する手摺と異なり、ブラケットはハネによって片側のみで設置が可能な為、このような対策が必要になります。(手摺に踏板をかける場合には両端に支柱があり板がスライドして落ちることが無い)
ツノが曲がってしまっていたり、欠損してしまっていたりすると、ストッパーとしての役割を果たせずに踏板が横にスライドしてしまう可能性があります。
3.ハネの変形・破損

ハネが変形してしまっていたり、ハネの溶接部が剥がれてしまっていたりすると、ハネが控えとしてブラケットにかかる荷重を分散するという本来の役割を果たすことが出来ません。
前者の場合にはハネと支柱が正しく接触できないことで力をうまく伝えることが出来ず、後者の場合にはハネにかかった力を吸収する為の強度が不足してしまっています。
ハネが正しく機能していないと、手摺を片側だけかけた状態と変わりがなく、強度が極端に低くなってしまいます。
4.コマの変形・ 破損

Bタイプのブラケットには、Bタイプの踏板を受ける為にコマが付いていまる場合があります。
コマが正常な形から変形してしまっていると、クサビをさすことが出来ません。
また、コマに亀裂などの破損がある場合には十分な強度が確保できない為、踏板の上に人が乗った際にコマが壊れ、作業員の落下事故などに繋がってしまう可能性があります。
5.まとめ
ブラケットは足場においてメインとなる部材であり、使用数も多いです。
そういった中で、安全性の低い破損した資材を使ってしまうと、様々な重篤な事故に繋がる危険性があります。
また、上記の破損例はあくまでも1例であり、ここで挙げきれないような様々なケースが発生する可能性があります。
弊社でも入出荷の際に可能な限りチェックをしていますが、それでも混入を防ぎきれないものや、出荷後の運搬中に破損してしまい現場で使われてしまうケースもあります。
使用前に資材の状態をチェックするなど、危険な資材を使わないように安全対策を行う必要があります。
次回:足場資材の危険な破損⑤:ジャッキベース編はこちら
