
足場資材の危険な破損シリーズでは、各足場資材における危険な破損を実際の写真を用いて紹介し、具体的にどのような危険性があるのかを解説していきます。
安全基準は仮設工業会の定める検査基準に準拠します。
第5回は『ジャッキベース』です。
早速見ていきましょう。

1.ベース部分の歪み

ジャッキベースは支柱の高さを調整し、足場全体の水平を調整する為に使用されます。
ベース部分に歪みがあると安定して自立しない為に水平を調整することが出来ません。
また、ジャッキベースは底面積を増やして荷重を分散させるためにアンダーベースを装着することが多いのですが、ベースに歪みがあるとアンダーベースが装着できません。
このような状態のジャッキベースを使用すると、足場全体の安定感が損なわれてしまい、足場の倒壊などのリスクが高まってしまいます。
また、壁当てジャッキの場合にも歪みがあるとゴムパッドが装着できなかったり、壁と適切に固定できないなどの不具合が発生してしまいます。
2.パイプの曲がり

パイプに曲がりがあると、支柱や壁つなぎとジャッキベースを接合することが出来ません。
使用することで安全が損なわれるだけでなく、使用自体が困難な状態です。
また、一度曲がってしまうと修理が困難であり、少しでも曲がりが残ってしまうとハンドルが回らないなどの障害が残ってしまうケースが多いです。
3.ジャッキの切断・加工

現在ほとんどのジャッキベースには抜け止め機構が備えられています。
その目的は、ジャッキベースとハンドルが分離して抜け落ちるのを防止することです。
抜け止めが初めから付いていない昔の規格のものや、抜け止めが効かなくなってしまっていたり、ジャッキベースがカットされていて抜け止め機構が存在しなかったりした場合、資材落下などの危険性が発生してしまいます。
また、カットされているジャッキベースは仮設工業会の認定を満たしていない形になります。
4.コンクリートの付着

破損とは少し異なるかもしれませんが、コンクリートがジャッキ表面をコーティングしてしまっている場合など、正常にハンドルを回転させることが出来ない場合には、ジャッキベースはその役割を全うすることが出来ません。
資材を利用する際にはそれが正常に使用できる状態で使用する必要があります。
5.付属品の破損

先にも触れた内容ですが、ジャッキベースは底面積を増やして荷重を分散させるためにアンダーベースを装着します。
画像のようにアンダーベース(プラスチック)が割れてしまっていたり、アンダーベース(スチール)が曲がってしまっていたりすると、ジャッキベースを安定した状態で設置することが出来ません。
また、壁当てジャッキにはゴムパッドを装着し、壁面を傷つけないようにする必要があります。
このゴムパッドが破損した状態のまま使用してしまうと、保護具としての役割を果たさずに、建造物の壁面を傷つけてしまう可能性があります。
ジャッキ本体だけでなく、その付属品も正常に使用できるものか品質の確認を行うようにしましょう。
6.まとめ
ジャッキベース は足場においてメインとなる部材であり、使用数も多いです。
そういった中で、安全性の低い破損した資材を使ってしまうと、様々な重篤な事故に繋がる危険性があります。
また、上記の破損例はあくまでも1例であり、ここで挙げきれないような様々なケースが発生する可能性があります。
弊社でも入出荷の際に可能な限りチェックをしていますが、それでも混入を防ぎきれないものや、出荷後の運搬中に破損してしまい現場で使われてしまうケースもあります。
使用前に資材の状態をチェックするなど、危険な資材を使わないように安全対策を行う必要があります。
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