
単管足場とは、単管パイプと呼ばれる直径48.6mmの鉄パイプと、クランプを中心とした周辺部材を組み合わせた足場のことです。
足場の組立が比較的自由に行えるため、くさび緊結式足場や枠組足場では設置が困難な狭い場所や、小規模な現場で多く使用されます。
この記事では、
① 主要資材
② 足場の構造
③ 単管足場のメーカー
について解説していきます。

1.主要資材①
①単管パイプ

単管パイプとは、直径48.6mmの鉄パイプのことです。
普通管とライト管の2種類があります。
主な違いは厚さと重さです
普通管
直径:48.6mm
厚さ:2.4mm
重さ:2.73kg/m
ライト管
直径:48.6mm
厚さ:1.8mm
重さ:2.08kg/m
ライト管の方が新しい製品で、軽量で取り回しやすく強度も強いものの、価格が少し上がります。
単管パイプには両端にピン/ダボと呼ばれる抜け止め加工が為されているものがあり、後述する固定ベースやジョイントと強固に緊結する為に使用されます。
単管パイプは最長6mのものを用途に合わせて任意の長さにカットして使用することが出来ます。
ただし、ピン/ダボ加工がしてある場合には、カットしてしまうと目的の用途に使えない可能性があるので注意が必要です。
②クランプ


クランプは、交差する単管パイプを繋いで固定する緊結具のことです。
交差角度が直角に固定された直交クランプと、交差角度が自由に調整できる自在クランプに分けられます。
このように言うと自由に選べる自在クランプの方が優れているように思えますが、直交クランプは「直角に固定できる」一方で、自在クランプは「一定の角度に固定することが出来ない」ため、用途に合わせて適したものを選択する必要があります。
また、クランプは使用用途や使用場所によって多種多様な種類のものがあります。
③固定ベース

固定ベースとは、単管パイプを地面に固定する際に使用する土台のことです。
単純に挿し込むだけでも使用できますが、ピン/ダボ加工がされていると、より強固に緊結出来ます。
④単管ジョイント

単管ジョイントは、単管パイプを直線上に繋いで固定する緊結具です。
ピン/ダボ加工がなされた単管同士で使用可能です。
※上記画像のボンジョイントと呼ばれる、ピン/ダボ加工がなされていない単管パイプ同士を緊結することが可能な、圧着方式の単管ジョイントも存在しますが、抜け止めの強度が極めて弱く非常に危険なため単管足場用の単管ジョイントとしては絶対に使用しないでください。
単管足場以外の用途での使用のみ可能です。
過去に死亡労働災害事故も発生しており、使用した場合には労働基準法違反で罰せられます。
2.足場の構造
単管足場は以下の3種類に大別されます。
① 一側足場
② ブラケット一側足場
③ 二側足場
です。それぞれの特徴を見ていきましょう。


一側足場とは、地面と垂直方向に単管パイプを1本立て、垂直方向の単管パイプを挟むように2本の単管パイプを地面と並行方向に設置し、作業床を作る足場のことです。
狭い場所でも設置することが出来る一方で、安定性に欠けます。
ブラケット一側足場とは、一側足場にブラケットを取り付け、その上に踏板を渡した足場の事です。単管パイプで丸みのある作業床の一側足場に比べて、作業床の安定性が確保されています。

二側足場とは、地面と垂直方向に単管パイプを2本立て、その2本に水平方向に単管パイプを渡し、渡した単管パイプの上に踏板を渡して作業床を作る足場のことです。
一側足場よりもスペースを使う分、安定性があり、より高く足場を組むことが可能です。
一側足場は15m、二側足場は31mまで組立可能です。
3.単管足場のメーカー
単管足場を製造しているメーカー数は非常に多くあります。
なぜ、多くのメーカーが参入するかというと、2つの理由があります。
1つ目は、ユーザーと使用用途が多様なことです。
単管足場に使用される単管パイプは、足場以外の目的にも多く使用されます。
例えば、自宅の屋根や小屋、棚の組み立てといったDIY目的にも使用されます。
そういった多種多様なユーザーの使用目的やニーズに応えるために多くのメーカーが参入しています。

2つ目は主要部材が少なく、製造が簡単で他メーカーとの互換性があることです。
くさび緊結式足場などでは、メーカーによって規格が異なり、互換性が無い商品も多くあります。
しかし、単管足場は主要部材が少なく形状がシンプルで規格も統一されているので、新規参入が容易になっています。
この2点により、多くのメーカーが参入しています。
4.まとめ
単管足場とは単管パイプとクランプを中心とした周辺資材からなる足場のことです。
単管足場の最大の特徴は、足場の組立が比較的自由に行えるため、くさび緊結式足場や枠組足場の設置が困難な狭い場所でも組立が可能なことです。
一方で、強度や安全面については他の足場と比較すると弱い部分もあり、高層の工事には適さないという特徴もあります。
また、単管足場に使用される単管パイプは、DIYなどにも使用することができ、ホームセンターで購入も可能です。
単管足場の実際の組み立て方については、詳細記事(単管パイプとクランプの構造から組み立てまで解説 初心者にオススメ!)を用意しておりますので、ぜひ読んでいただければと思います。
