
今年も大型の台風が来ており、お盆休みを故郷で過ごした人のUターンラッシュを直撃しました。
8月の台風10号は記憶に新しいと思います。
現場では台風に対しての足場倒壊防止を行いましたか?
台風や強風により足場の倒壊ことがあります。
ニュースに取り上げられることは珍しくありません。
そもそも台風や強風により足場が倒壊する原因の大多数が、現場監督や工事業者などの天気の読み違いや油断、資材や組み立て方の勉強不足から起きています。
これらにより、以下の倒壊画像のようなことはあってはなりません。

このような倒壊事故が減らせるように、事例や対策を書きました。
ぜひ、目を通して、今日から現場で役立てればと思います。

倒壊事故①
事例の考察:メッシュシートの畳忘れ

上の画像はメッシュシートをそのままにしていました。
強風を受けた結果、メッシュシートが倒壊しました。
※メッシュシートの詳しい内容は【枠組足場で使う資材③】先行手摺、幅木、メッシュシートの構造から組み立てまで解説あり!に記載しています。
足場を組み立てる規模が大きいと手が回らないことがあるかもしれませんが、事故はいろいろな不幸を招きます。
対策
倒壊の原因はメッシュシートを畳んで縛って置かなかったことが原因です。
下の画像のようにメッシュシートを畳んで縛っておくことが対策になります。

メッシュシートは角にあるハトメ金具にロープを通しています。

ロープを支柱に巻き絞めて、取り付けています。
どちらか片方のロープを外して、片方の支柱にまとめましょう。
まとめる際に、台風や強風で広がらないように番線等でメッシュシートを支柱に巻きつけましょう。
倒壊事故②
事例の考察:枠組足場の倒壊

原因は複数の可能性により特定できませんが、以下の可能性が考えられます。
・筋交の欠損または取り付け不足
・ジョイントの未施工
・鋼製布板のフックの未施工
この後に説明する倒壊事故③の原因も可能性の一つです。
注:これ以外にも他の可能性はあります。
対策
上記の可能性に対しての対策を説明していきます。
※以下の説明で筋交、ジョイント、鋼製布板が出てきます。
筋交に関して、【枠組足場で使う資材①】 建枠、ジャッキ、筋交、手摺の構造から組み立てまで解説あり!
鋼製布板とジョイントに関して、【枠組足場で使う資材②】 アームロック、布板、ジョイントの構造から組み立てまで解説あり!に解説しています。
・筋交の欠損または取り付け不足

筋交は建枠のグラビティに取り付けています。
経年劣化や破損でグラビティが稼働しなくなり、ストッパーが閉じたままになります。
これにより、筋交は外れやすくなります。
そもそも、筋交は足場の補強のために取り付けるので、正しく取り付けていなければ、足場の強度は弱くなり、倒壊の可能性をあげます。
なので、取り付けた際にグラビティが稼働しており、筋交がはずれないか確認しましょう。
組立の際に、どれぐらいの本数が必要か確認して、準備しましょう。
・ジョイントの未施工
ジョイントは建枠と建枠を繋ぐ資材です。

ジョイントのピンが建枠の穴から出ていないと、台風や強風に煽られて、建枠が外れる可能性が高くなります。
本来の使い方である、ジョイントのピンを建枠の穴から出し、確認しましょう。

・鋼製布板のフックや金具の未施工

鋼製布板は形より、上や下からの風を受けます。
建枠にフックや金具を架けていないことにより、外れてしまい、落下事故を招く恐れがあります。
なので、フックを建枠に架けて、金具でロックをして、外れないか確認しましょう。

倒壊事故③
事例の考察:防音パネルの剥がれ落ち

防音パネルの剥がれ落ち、足場が倒壊する事故の原因は以下のことが考えられます。
・壁つなぎという資材を正しい位置に取り付けていなかった。
・養生クランプという資材を正しく取り付けていなかった。
これ以外に倒壊事故②で説明した原因も考えられます。
対策
壁つなぎとアンカーという資材の画像です。

正しい取り付け方をしていないもしくは、組立基準通りの間隔で取り付けていないことで事故につながる可能性は高いです。
※以下の画像はビスが抜けた壁つなぎです。

正しい取り付け方から説明していきます。
①建築物にアンカーを取り付けます。

②アンカーに壁つなぎのネジを取り付けます。

③壁つなぎのクランプ部分を建枠に取り付けます。

④取り付ける際は、垂直方向 5.0m以下、水平方向 5.5m以下の間隔で取り付けていきましょう。

まとめ
台風による実際に起きた事故をもとに、説明してきました。
日本は外国と比べて台風、大雨、大雪、地震、火山噴火などの自然災害が発生しやすい国土です。
今の時期だと台風は9月まで続くでしょう。
天気予報をチェックして、台風や強風であれば、早めに対策しましょう。
また、現場監督や工事業者が普段から安全に関しての教育を行い、このような対策を皆に共有して、一つでも事故がなくなるように願います。
