建設業界の2024問題
2022年5月28日 発行
人手不足により残業が増えてしまいがちな建設業界に、働き方改革の波が来ています。
働き方改革関連法の制定以前は、特に罰則も無かったため、長時間労働が黙認されていました。
しかし、2024年4月からは定められた残業時間を超えた場合、罰則を課せられる可能性があるため、「2024年問題」と呼ばれています。
今回は罰則と施行までにできることについて紹介していきます。
働き方改革関連法とは
2019年4月1日に施行され残業時間の上限は特別な事情がない場合、月45時間・年360時間を超えてはならない。
*特別な事情がある場合でも年720時間以内、複数月平均80時間以内、月100時間未満(休日労働を含む)を超えてはならない。
ただし、建設業界に対しては長年の間、長時間労働が当たり前になっており人手不足なども考慮され5年間の猶予が与えられました。
つまり2024年4月から適用となります。
現状として4週8休以上(週休二日)と答えた企業は約10%ほどで、実際には4週6休が34.2%、4週5休が20.7%となってしまっています。
また、下請け企業の4~5割が元請け企業が休ませてくれないという回答をしています。※建設産業専門団体連合会発表
この5年間の間にどれだけ労働時間の短縮に向けて取り組めるか、働き方改革できるかが大事になります。
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる?!
2024年4月以降、この時間を超える残業時間は違反となるおそれがあります。
①長時間労働の是正 ex) 週休2日制推奨、適正な工期設定
建設業は長時間労働が染みついている業界でもあるがため、離職者数にも影響を及ぼしてしまっています。
実際に建設工事全体の約64%が4週4休以下で就業しており、週休二日制を導入している企業は1割以下となっています。※「建設業における働き方改革」参照
しかし、休みを増やして終業時間を減らすことで無理のある工期設定になってしまっては負担が増えてしまいます。
各発注者と連携を取りながら、無理のない適切な工期設定を推進するかが課題となります。
長時間労働が法によって是正されることで、少なからず現状よりは改善される見通しです。
②給与・社会保険の見直し ex) 給与水準UP、社会保険加入の推奨
2024年4月から「同一労働同一賃金」が適用対象になります。
同じ職場で同じ仕事内容を行う従業員に対して、同一の賃金を支払うという考え方です。
また、技能や経験にふさわしい待遇や社会保険の加入をスタンダードにするなど基本的な労働環境の改善・見直しが求められます。
③生産性の向上 x) IOTの導入、技術者配置の見直し
IOTとは「Internet of Things」の頭文字をとった言葉で、モノに搭載されたインターネット技術が自動的に作動する仕組みのことです。
実際に建設業界でも導入が始まっています。国土交通省のガイドラインでは建設生産プロセス全体における生産性向上を推進するように定められています。
施工管理アプリ、勤怠管理システムなど導入することで現場業務の効率化、また身の危険が伴う作業を自動化することで安全性の担保が得られます。
まとめ
2023年になり、時間外労働に対する罰則が科される時期が迫ってきました。
勤務時間の見直し、改革は今からでも間に合います!
ガイドラインの中では発注者と受注者は対等な立場で契約すること、長時間労働を前提とした短い工期にせず適切な工期にすることを基本的な考えとしています。
まずは国土交通省が推奨する働き方改革推進支援センターへの相談をおすすめします。