建設業の倒産件数が急増中…!
2023年4月15日 発行
2023年3月の倒産件数が明らかになり、前年度の建設業の倒産に関する集計結果が発表されました。
建設業の経営を襲う三重苦、「工期長期化・人手不足・資材高」で、中小企業を中心に倒産リスクが高まっています。
今までも倒産件数や業界動向についてお伝えしてきましたが、今回の足場王通信、ブログでは直近1年間の動きと今後の見通しについて取り上げていきます。
約6年半ぶりの急増?!
2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)は、建設業の倒産件数が1291件という結果になりました。
内訳として物価高倒産が前年比3.4倍の463件となり、初めて400件を超えたことが大きく関係しています。
また、2023年3月が倒産件数155件という圧倒的な数字を記録しました。
2016年8月(154件)以来約6年半ぶりに150件を超える高水準となり急増傾向が鮮明となりました。
最新のデータによると、2023年4月の建設業の倒産件数は133件で前年同月よりも約1.5倍の増加となっています。
コロナ融資後倒産の現状
以前の足場王通信でも取り上げてきたように、ゼロゼロ融資を受けた企業が、経営を立て直すことが出来ずに倒産してしまう件数が急増しています。
全業種では前年比2.3倍の384件ですが、その中でも建設業の割合が最も多く、前年比約3倍の85件にまで上り、業種別で最多となりました。直近2023年4月の全業種コロナ融資後倒産は40件(前年同月32件、25.0%増)発生し、今年に入り4カ月連続で40件以上となっています。
また、実際の融資額が判明した約240社のコロナ融資借入額平均は約5800万円で、「焦げ付き」に相当するコロナ融資損失総額は推計で約433億5875万円にのぼり、国民一人あたり約350円の負担が発生している計算です。
今年4月以降は借入企業で最長3年に及ぶ利子補給期間が順次終了し、返済開始の“ピーク”が「2023年7月から2024年4月」にかけて到来します。この時期にアフターコロナの回復局面における資金需要の高まりが予想されますが、金利が上昇すれば追加の借り入れ負担増や、物価高による各種コスト高が収益を圧迫する可能性があり、厳しい状況の企業が増えることが予想されます。
工事原価の上昇
2021年度はコロナ禍での工期の遅れなどのマイナスな影響があったものの、政府からの資金繰り支援により記録的な低水準を記録することが出来ました。
しかし、ウッドショックやアイアンショック、ロシア・ウクライナ情勢の悪化、円安など様々な要因が引き金となり、鉄骨や木材など建設資材の原材料価格が引きあがりました。これにより資材価格が高騰し、工事原価の上昇を招いてしまっています。
上記で記述したように、ゼロゼロ融資の返済も始まり当面は倒産件数が増加することが見込まれます。
人手不足倒産が深刻化
従業員の離職や採用難等により人手を確保できず、業績が悪化したことが要因となって倒産した「人手不足倒産」は、2022年度の人手不足倒産全体のうち4件中1件は建設業が占めるなど人手不足も深刻化しており、建築士や施工管理者など業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職や営業マンなどの退職により事業運営が困難になったケースが目立っています。その結果、建設現場で「資材が来ない」「予算よりも価格が高い」「人がいない」などの常態化により、工期も「ずれ込む」悪循環が発生しやすい環境となり、中小建設業の倒産を押し上げる要因となっています。
行動制限の全面緩和に続き、5月8日に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に引き下げられ、アフターコロナへの動きが本格化するなか、急激な需要についていけず人手不足リスクが深刻さを増しつつあるようです。
まとめ
帝国データバンクより公開された最新の情報をもとに、実態について取り上げました。
帝国データバンクは、「各種コストの増加分を価格に転嫁する『発言力』に乏しい中小零細規模の建設業を中心に、当面は倒産増加の傾向が続く可能性が高い」と指摘しています。例年下半期に倒産件数が増加する傾向にあり、やはりコロナ融資の返済ピーク「2023年7月から2024年4月」に重なり倒産ペースが早まる可能性がありそうです。
〈コロナ借換保証〉
コロナ借換保証の正式名称は「民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度」と言います。
一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成し、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時における信用保証料の事業者負担を大幅に引き下げる制度となっています。
一定の要件を満たした中小企業者が、金融機関との対話を通じて「経営行動計画書」を作成し、金融機関による継続的な伴走支援を受けることを条件に、借入時における信用保証料の事業者負担を大幅に引き下げる制度となっています。
民間ゼロゼロ融資に加え、他の保証付融資からの借り換えも可能になっています。また、事業再構築等の前向き投資に必要な新たな資金需要にも対応しています。
金利が高い金融機関からの借り入れがある場合や、複数の金融機関から借り入れがある場合には、この制度の活用を検討してみても良いかもしれません。
詳しくは、中小企業庁の「コロナ借換保証」についてをご参照ください。
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