内容調査!政府の有識者会議 最終報告書 建設業界を支える労働力 外国人技能実習制度見直し 新制度の方向性は?
2023年12月20日 発行
外国人技能実習制度の見直しが進められています。新たな制度の方向性と、実習生を受け入れている足場王のお客様に、今後の受け入れ位に関して伺いましたのでご紹介します。
外国人技能実習制度は、本来は、外国人が日本で技術や技能を学び、帰国後母国の経済発展に役立てることを目的とした制度です。実態としては、「貴重な労働力」として、人手が不足する産業、特に建設業においては大きな支えとなっています。
しかし、厳しい職場環境に置かれた技能実習生の失踪が相次ぎ、人権侵害の指摘があるとして、政府の有識者会議は今の制度を廃止するとした最終報告書をまとめました。
新たな制度は人材の確保と育成を目的とし、名称も「育成就労制度」に変えるとしています。
「技能実習」と「育成就労」の制度の比較
最終報告書の内容を基に、①目的 ②在留期間 ③転籍 の3つに焦点を当てて2つの制度を比較しました。
①目的
冒頭でも取り上げましたが、育成就労は人材確保と人材育成を目的としています。また、基本的に3年間の育成期間で、特定技能1号の水準の人材に育成するとしています。
②在留期間
育成就労の基本的な在留期間は3年となっており、3年以内に特定技能評価試験を受験し、在留資格を特定技能へ移行することが求められます。
③転籍
育成就労では、以下の条件で転籍を可能としています。
- 同一機関での就労が1年を超えていること
- 技能検定試験基礎級等、日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格していること
- 転籍先となる受入れ機関が、受入れ中の外国人のうち転籍してきた者の占める割合が一定以下であること、転籍に至るまでの斡旋・仲介状況等を確認できるようにしていることなど、一定の要件を満たす企業であること
また、育成終了前に帰国した者につき、それまでの新たな制度による滞在が2年以下の場合、前回育成時と異なる分野・業務区分での再入国が認められています。
受入企業への影響
①一定の日本語能力を備えた人材を確保しやすくなる
継続的な学習による段階的な日本語能力向上として以下の内容を上げています。
- 就労開始前にA1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)合格又は相当講習受講
- 特定技能1号移行時にA2相当以上の試験(〃N4等)合格
※当分の間は相当講習受講も可 - 特定技能2号移行時にB1相当以上の試験(〃N3等)合格
また、受入れ機関が日本語教育支援に取り組んでいることを優良受入れ機関の認定要件としています。
外国人側には、特定技能のために日本語学習の意欲向上、企業など受け入れ側には、優良受け入れ機関になるための日本語学習の支援向上が見込めるため、一定の日本語能力を備えた人材の雇用に繋がると考えられます。
②育成した人材が転籍してしまう恐れがある
技能実習制度では、転籍は原則不可であるため、最低でも3年間(技能実習2号)は雇用ができました。
しかし、育成就労制度では条件があるものの、本人の意向によ転籍が出来るため、「給料が安い」「教育・労働環境が悪い」などと感じることで転籍されてしまう可能性があります。
また、受け入れや育成に要したコストを回収しないまま転籍、というケースも考えられます。
自社で働き続けてもらうために実習生の処遇を高めることや、技能、日本語習得を助けることなどは、企業にとっては負担となる可能性もあります。しかし人手不足解消のためには必要な投資かもしれません。
\足場王顧客様に聞いた!/
外国人技能実習生の受け入れについて
現在実習生を受け入れている足場王のお客様に、今後の受け入れになどに関して伺いましたので、ご紹介します。
Q1.新制度へ移行する場合、今後も外国人の受け入れを継続しますか?
大多数の企業が「はい」と回答
Q2.なぜ受け入れをしようと考えましたか?
・人材確保のため
・会社の多様性のため(新たな視点やアイディアが企業力を高める)
Q3.どこの国の方を雇用していますか?
・ベトナム(経済成長もあり減少傾向)
・インドネシア
・フィリピン
・ミャンマー(増加傾向)
Q4.日本語能力はどの程度のレベルか?
・組合に任せているため、来てみないとわからない
・N1~N5レベルで様々な方が来るが、「教育」が重要。日本語を覚えた実習生が後輩実習生に教えてくれることも◎"
Q5.実習生を雇用するメリットは?
・人手の確保ができる
・英語が分かれば、簡単な単語などで仕事を覚えてくれ、即戦力となる
Q6.実習生を雇用するデメリットは?
・特にない
あっても、人材確保出来るというメリットが勝るため、デメリットと感じない。
あえて言うなら…
・手続きなどの手間がかかる
・アパート代等の負担や組合等への会費
・突然の逃亡
まとめ
新制度では、別の企業などに移る「転籍」が認められるケースや、受け入れ側の費用負担を求める内容もあります。企業側の受け入れ体制(キャリアパスの明確化、労働環境の整備やコミュニケーションを含めた教育体制)の強化を図っていき、人材を勝ち取っていきましょう。
今回解説した内容は決定ではないため、変更される可能性はあります。
これからも新たな情報が入りましたら皆様にお知らせいたします。