足場王が独自調査 政府、建設業界に5%の賃上げを要求!賃上げは中小企業まで広がるのか?
2024年4月13日 発行
2024年、政府が建設業界に対して「5%の賃上げ」を要求したことが話題となりました。
公共工事の労務単価も引き上げられ、大手ゼネコンを始めとし、業界全体でのベースアップが期待されています。しかし、大手企業だけでなく、中小企業が賃上げを実現させるには、公共工事だけでなく民間工事単価の引き上げもできるよう、発注者が価格転嫁に協力することが必要になってきます。
実際に中小企業まで賃金アップは出来るのでしょうか?賃上げのためにはどのようなことが必要になるのでしょうか?
今回は東京商工リサーチによる建設業の賃上げに関する調査内容(一部)と、足場王で顧客の皆様に独自調査した賃上げに関するアンケート結果をご紹介致します。
2024年度 建設業の賃上げについて(東京商工リサーチ)
東京商工リサーチは2024年2月、2024年度の「賃上げに関するアンケート」を実施し、調査結果を公表しました。
賃上げを予定する企業(全産業)が85.6%に達し、定期的な調査を開始した2016年度以降で最高を更新したと発表しています。建設業では平均をやや上回り87.8%で賃上げするということが明らかになりました。
2024年度 足場工事業の賃上げについて (足場王独自調査)
足場王では2024年4月、足場工事業の皆様を中心に賃上げに関するアンケート調査を実施しました。
政府からの賃上げ要請、大手企業の賃上げ実施を受け、実際にどのような対応をしていくのかお聞きました。
世間では賃上げムードですが、「実施する」との回答が8.3%、「実施する方向で検討中」との回答が33.3%となり、賃上げに前向きな回答をしたのは41.6%と半数を割るという結果が出ました。
実際の現場では「検討中」が50.0%と半数を占め、賃上げをするか否か、判断できない慎重な様子が伺える結果となりました。
■賃上げの内容
賃上げを「実施する」「実施する方向で検討中」と回答した方で、賃上げの内容について回答して頂きました。
ベースアップまたは時給・日当のアップ、また賞与の増額を行うという企業が大多数を占めました。
ベースアップや時給・日当のアップなど、基本給に関わる賃金の底上げは長期の負担となるため、中小企業では賞与(一時金)の増額で賃上げに対応する企業が多いのではないでしょうか。
■賃上げ率は2023年度と比較してどの程度か
同じく、賃上げを「実施する」「実施する方向で検討中」と回答した方で、賃上げ率についても伺いました。
2023年度と比較して5%以下の賃上げが目立ち、3%~6%を目安に賃上げを行う企業が多いという結果が出ています。一方で、中には10%以上アップするという企業もあり、賃上げ原資の確保に成功している企業もいるようです。
政府は、昨今の物価高に対応するためには前年を上回る賃上げが必要との見解を示しています。しかし、物価高や円安など、コストアップが続く中、前年度以上の賃上げが現実的ではない企業も多いと見られています。
■賃上げを実施する上で必要なこと
賃上げの実施についてどのような対策が必要か、以下の回答が得られました。
- 製品・サービス単価の値上げ
- 製品・サービスの受注拡大
- 従業員教育(生産性向上)
- 仕入れ・受注単価の低減
など
「製品・サービス単価の値上げ」が最も多く、今回の賃上げに限らず、製品・サービス単価への価格転嫁は今後も企業成長のためのポイントになります。
また、従業員教育(生産性向上)においては2024年問題を意識したものでもあり、残業時間の規制により限られた時間の中で一人一人がより効率良く働き成果を残すことが必要です。
まとめ
今回は、2024年度の「賃上げ」について取り上げました。
建設業界は労働者の給料が安いこと等から、人材流出が進んでいます。徐々に賃上げの雰囲気が醸成されつつありますが、経済の好循環を実現するにはそれぞれの企業が生産性向上や賃上げに励み、従業員満足度の向上や人材確保に繋げていくことがポイントです。
賃金引上げに関する支援(中小企業向け)
賃上げ促進税制
青色申告書を提出している中小企業者等が、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税額(又は所得税額)から控除できる制度です。
業務改善助成金
事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げた上で、生産性向上に資する設備投資等を行う中小企業・小規模事業者に対し、その設備投資等に要した費用の一部を助成する制度です。
賃上げに関する助成金などを活用し、従業員満足度や人材確保の向上に繋げて行きましょう。
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中小企業庁
厚生労働省